セキスイハイムpresents

アーツ&クラフツ商会

【放送】
毎月 第一および第三月曜日
夜11:00~11:30
ナビゲータ/坂井真紀

第31回 室内のアクセントとなるステンドグラスのドアストッパー

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無数のガラス片を丁寧に組み合わせてつくる「ステンドグラス」。
一枚とて同じものがない色ガラスの個性を見極めるためには、職人の高い技術としなやかな感性が必要とされる。
類い稀な光の芸術が生みだしたニュークラフツは、「ステンドグラスのドアストッパー」だ。

ステンドグラスの伝統

アートと呼ばれるまでに進化を遂げている
神々しいステンドグラス
個人の住宅にも浸透した

古代ローマで生まれ、キリスト教とともに発展

一般に、窓ガラスの装飾として知られるステンドグラス。
しかし近年、そのデザインや用途の幅は格段に広がり、
アートと呼ばれるまでに進化を遂げている。

ステンドグラスの歴史は、古代ローマ時代にまでさかのぼり、
当時はガラスピースを組み合わせた窓がつくられていた。
現存する最古のものは、ドイツのヴィッサンブールで発掘された
「キリストの頭部」を表したもので、
9世紀ごろの作品と考えられている。

ステンドグラスは、キリスト教との結びつきが深く、
教会を彩る芸術として発展。多くは聖書や聖人伝説に材を取っており、
字の読めない人びとへのキリスト教の普及に大いに役立った。
神々しいステンドグラスは、
キリスト教の権威付けに重要な役割を果たしたのだ。

12世紀に入るとヨーロッパでゴシック様式の建築が流行。
教会の天井が高くなるに伴い、
ステンドグラスも大きく豪華なものへと変化していく。

日本に伝わったのは、江戸末期。
長崎にある大浦天主堂のステンドグラスが日本最古といわれている。
しかし、これは外国の職人の手によるもので、
国内でつくられるようになるのは、明治の中ごろになってから。
政府が国会議事堂などを建設するにあたり、職人をドイツへ留学させ、
ステンドグラスを含む西欧の建築技術を日本に持ち帰らせた。

やがて生活様式の多様化に伴い、
ステンドグラスは教会や公共施設だけでなく、個人の住宅にも浸透し、
インテリアのアクセントとしての役割も果たすようになる。

ステンドグラスの技術

日本が誇るステンドグラス工芸家の臼井定一さん
千種類以上のガラスが保管されている
オイルカッターでガラスを切り出す
トレース台に置き仕上がりのイメージを確認
鉛線にガラスをはめ込む
ハンダ付け
完成品

ガラスの個性を見極める職人の力量

ステンドグラスの制作工程を見せていただくために訪れたのは、
埼玉県さいたま市にある工房「バロック」。
創業は1975年。40年以上の歴史をもつ国内有数の工房で、
国内では珍しいステンドグラスの本格ギャラリーが併設されている。

ベテランから若手のスタッフがそろう工房の代表を務めるのは、
日本が誇るステンドグラス工芸家の
臼井定一(うすい・さだいち)さん。
空港や駅など、日本各地でこれまで数千点以上もの作品を手掛けてきた。

今回見せていただいたのは、
つい立てなどに用いるステンドグラスの製作工程である。

まずはデザイン画の作成から。

工房には、千種類以上のガラスが保管されており、
その多くがアメリカやドイツ、フランスからの輸入品で一点ものばかり。

ステンドグラスは、ガラスありきでデザインを考えます。
つねに、どんなガラスが工房にあるのかということを
頭に入れながらデザインをするんです。
ー 臼井定一

ラフスケッチと色付けを経てデザインが固まったら、
スケッチを原寸大に拡大しガラスを切り分ける型紙をつくる。
この型紙をカットするハサミは、ダブルシーザーと呼ばれる
2枚刃の特殊なもので、型紙を正確に作成するために開発されたもの。
カットした型紙は、デザイン通りにパーツごとに並べていく。

続いて、ガラスカット。
実際に使用するガラスに型紙を合わせ、
オイルカッターという特殊な工具で、ガラスを切り出す。
同じ一枚でも、ガラスは場所によって厚さや色合い、
刻まれた模様が異なっている。ガラスをどのように扱うかが、
職人の技量とセンスの見せどころだ。

美しさと強度を生む日本独自の高い技術

すべてのガラスを切り終えたら、蛍光灯で照らしたトレース台に置き、
仕上がりのイメージを確認。
ここで、形が歪だったり、デザインに合わない模様の
ガラスがあれば、差し替える。
無数のガラス片を組むときに使うのが、
H型に加工された「鉛線(なまりせん)」だ。
工房では幅の異なる6種類の鉛線を使い分けている。

このH型の溝に、専用の機械で細かい刻みを入れ、
銅線をガラスの形状に応じて容易に曲げられるようにする。

次に鉛線にガラスをはめ込む作業。
机のフチに鉛線をL字型に組み、切り出したガラスを鉛線に入れる。
組む際に隙間があると、ガラスが動き、強度が落ちてしまう。
作品が長く愛されるためには、
デザインだけでなく、強度も必要不可欠だ。

鉛線の歪みを徹底的に確認し、整える。
組立てた後は、松ヤニとラードを混ぜた液体を塗り、
ハンダ作業に備える。

鉛線が組み上がったら「ハンダ付け」の作業。
ハンダは通常、鉛線の接合部分のみに用いるが、
工房では鉛線全体をハンダで覆う「全面ハンダ技法」をとる。
地震が多い日本で独自に発展し、作品の強度をあげながら、
見た目の美しさも追求した究極の技法だ。
職人の繊細な作業と技術力が必要なため、
国内でも一部の工房でしか行われていないという。

表裏のハンダ付けが終わると、いよいよ仕上げへ。
黒ニス、硝煙などを混ぜたパテで、ガラスと鉛線の隙間を埋め、
さらに強度を上げていく。
そして、ガラスを引き立たせるために硫酸銅を塗り、
鉛線をあえて腐食させる。
最後に、エタノールでガラスをクリーニングして、完成だ。

アートのなかで唯一光を透過するのがステンドグラスです。
映り込む色合いを楽しむこともできる。
時を越えた美しさがそのまま残るんです。
ー 臼井定一

ステンドグラス × ドアストッパー

作業を進める臼井定一さん
完成したドアストッパー

日常にアクセントを加えるステンドグラスのニュークラフツ

今回、ニュークラフツづくりに挑むのは、
ゴッホの「花魁(おいらん)」をステンドグラスで表現するなど、
型にはまらない作品を生み出し続ける白井さん。
小さなものをつくっているようだが、
果たしてどんなニュークラフツが生まれるのだろうか?

銅箔のテープを使った、ランプシェードなど小物に適用する技法で
作ってみたいと思います。
ー 臼井定一

ガラスを小さくカットし、三角形の型紙に丹念にはめこみ、
オーダーしたニュークラフツがついに完成。
それは、リビングへの動線を彩るドアストッパーだ。

小さいながらも柔らかな光を全面で透過し、
ひときわ美しい存在感を放つ一品。
これぞまさに「ステンドグラス」のニュークラフツである。

アーツ&クラフツ商会 Lot.031 ステンドグラスのドアストッパー

ダイジェスト動画

放送第31回:ステンドグラスのドアストッパー

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