セキスイハイムpresents

アーツ&クラフツ商会

【放送】
毎月 第一および第三月曜日
夜11:00~11:30
ナビゲータ/坂井真紀

第36回 凛とした輝きを放つ、東京銀器の消臭アイテム

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見る者を魅了するみごとな輝きを放つ一方、“いぶし銀”といわれるように、時間の経過とともに味わいを増す金属――銀。
「東京銀器」のニュークラフツは、そんな銀の特性と江戸から続く伝統の技を最大限に活かした、とっておきの消臭アイテムである。

東京銀器の伝統

熱伝導率が高い銀器
銀の加工技術が確立された
銀器は磨くことで輝きを取り戻す

江戸の庶民を魅了した銀器の輝き

熱伝導率の高さから急須などに用いられ、
暮らしに彩りを添える存在として愛用されてきた「東京銀器」。
日本の銀製品づくりが東京を中心に発展したのは、
この町の歴史とも深い関係があった。その理由とは――。

日本で銀がはじめて産出されたのは飛鳥時代のこと。
もともと日本は島根県にある世界遺産、石見銀山をはじめ、
多くの鉱山を抱えた世界有数の銀の産出国だったが、
当時は国内の銀の製錬技術が未熟だった。
そのため、国内で採掘した銀鉱石を大陸へ輸出し、
加工された銀製品を輸入していたのだ。

時は過ぎ、室町時代になると、鉛を使って鉱石から銀を抽出する技法
――「灰吹法(はいふきほう)」が大陸から伝えられ、
国内でも銀の製錬が可能に。
この技法の普及によって、銀は戦国大名を支える重要な資金源となり、
銀を使った兜や鎧などもつくられた。

庶民文化が華ひらいた元禄時代。
それまで特権階級や神社仏閣などでしか用いられなかった銀製品は、
経済的な豊かさを享受する庶民の間にも普及。
それにともない、銀の加工技術が確立され、
銀師(しろがねし)と呼ばれる銀器職人が活躍するようになったのだ。

あまりの人気に、幕府は贅沢を禁じる
「奢侈禁止令(しゃしきんしれい)」を出し、
髪飾りや煙管など、庶民が身につける贅沢な銀製品を
取り締まりの対象としたほどである。

それにもかかわらず、庶民は銀を使い続けたため、
幕府は日本各地で銀の取引を行っていた貨幣の鋳造所「銀座」を廃止。
唯一、存続を認められたのは、徳川家のお膝元、江戸の「銀座」だけ。
これが、「東京銀器」が東京を中心に発展した理由である。

東京銀器の技術

銀器職人の笠原信雄さん
銀を柔らかくするために火にかける「焼き鈍(なま)し」
冷めた銀の板を木槌で叩いて形にする「打ち起こし」
「あて金(がね)」の曲線を利用して器の形に打ち出す
金槌の凹凸だけで模様をつける
仕上げに表面を磨きあげる
完成した東京銀器の器

器に命を吹き込む繊細な手仕事

江戸より続く伝統の技を見るべく訪れたのは、笠原銀器製作所。
夏目漱石をはじめ、多くの文豪が愛した歴史情緒あふれる町
――東京都文京区本郷にある東京銀器の工房だ。

この工房で父の跡を継ぎ、銀を叩き続けておよそ半世紀。
笠原信雄さんは、修理も行う数少ない銀器職人のひとである。

東京銀器の技法は、銀を叩いて立体的な形をつくる「鍛金」、
銀を彫り装飾を施す「彫金」、
そして、切り抜いた部分に別の金属を嵌め込む「切嵌(きりばめ)」
の3つに大別される。
今回、披露していただいたのは「鍛金」によって器をつくる工程だ。

まずは切り出し。
厚さ0.7mmの銀の板に下絵をもとに印をつけ、切り出す。
笠原さんが使用するのは、混ぜ物無しの純度100パーセントの銀。
鉄や銅に比べて柔らかく、加工しやすいのが特徴だ。

銀の板を叩く前に、柔らかくするために火にかける。
これを「焼き鈍(なま)し」という。
次に、冷めた銀の板を木槌で叩いて形にする「打ち起こし」。
くぼみのある台に乗せて叩きながら板を立体状に。
大まかな形ができたら再び焼き鈍す。
金属は叩いているうちに、
粒子が細かくなり硬くなってしまうためだという。

続いては、ケヤキの台に「あて金(がね)」を刺し、
その曲線を利用して器の形に打ち出す作業。

あて金はすべて手づくり。品物にあわせた道具が必要です。
なかには1度しか使っていないものも。道具は財産ですね。
― 笠原信雄さん

伝統を支える職人の矜持

あて金を使った作業は、一見簡単そうにも見えるが、
振り下ろす木槌の位置が鍵を握る繊細なもの。

笠原さんが木槌で狙うのは、
銀の板とあて金が接地している面よりも、ほんの少し上。
銀の板越しにあて金の位置を正しく把握していなければできない
匠の技である。

今度は木槌を金槌に持ち替える笠原さん。
銀の板を大きく寄せる作業には木槌、
伸ばしながら叩く細かい作業には金槌と、
作業によって道具を使い分けるのだ。

銀が硬くなったら焼き鈍し、再び叩く。
職人の繊細な手仕事は、器に命を吹き込んでいく。

あて金を使い分けながら、少しずつ形を調整。
器の形ができても、作業はこれで終わりではない。
続いては、器に模様をつける作業だ。
東京銀器には多数の模様があり、
それらはすべて職人の手づくりである。
使用される道具もすべて手づくりなので、
同じ模様でも職人によって微妙に異なるのだとか。

今回は金槌の凹凸だけで、縦の筋を出す模様。
まずは、器に溶かした松脂を入れ、
固まったらバーナーで器の外側だけを熱し、銀を柔らかくする。
松脂を入れるのは、
叩いたときに凹み過ぎてしまうのを防ぐためだという。

筋出しができたら、再び器をバーナーで熱し、なかの松脂を取り出す。

ここでようやく仕上げの工程である。
数カ月間「焼き鈍し」と「打ち出し」を繰り返したため、
すっかり白くなってしまった表面を磨きあげ、
銀本来の輝きを出して完成。

柔和な佇まいと優しい光沢。銀器の魅力が存分に引き出された逸品だ。

私たちがつくるのは、実際に使っていただける銀製品です。
飾るものではありません。なかには何を入れてもいい。
使い方は自由です。
― 笠原信雄さん

使う人を気づかう職人のこだわりが、東京銀器の人気を支えている。

東京銀器 × 消臭アイテム

ニュークラフツづくりに挑む、笠原信雄さん
完成した東京銀器の消臭アイテム

あっと驚く東京銀器のニュークラフツ

笠原信雄さんが挑むのは、
銀の特徴を活かした東京銀器のニュークラフツだ。

アーツ&クラフツ商会のオーダーをもとに、
さっそく新アイテムづくりにとりかかる笠原さん。
いつものようにリズムよく木槌を振るい、
形を整え、模様をつける……。
何やら筒状の器ができあがった。その正体とは?

完成したニュークラフツは、なんと冷蔵庫のなかに。
開けてビックリ、姿を現したのは、
筒状の器に炭を入れた東京銀器の消臭アイテムである。

抗菌作用をもつ銀に、炭を加えればそのパワーは倍増。
さらに、消臭効果をより高めるために、器には穴を空けた。

銀の黒ずみの正体は硫化銀。
つまり空気中の硫化水素と反応したものです。
そんな銀の特徴をさらに活かせば、匂いのもとになるガスなどを
吸着してくれるはずです。さらなる消臭効果が期待できるように
模様をつけて表面積を大きくなるように工夫してみました。
― 笠原信雄さん

江戸から続く匠の技と銀の特性を最大限に活かした、
とっておきの消臭アイテム。
これぞまさに東京銀器のニュークラフツである。

アーツ&クラフツ商会 Lot.036 東京銀器の消臭アイテム

ダイジェスト動画

放送第36回:東京銀器の消臭アイテム

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