セキスイハイムpresents

アーツ&クラフツ商会

【放送】
毎月 第一および第三月曜日
夜11:00~11:30
ナビゲータ/坂井真紀

第37回 パーティーを艶やかに飾る水引のグラスリング

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ハレの日には欠かせないアイテムだった「水引」。近年ではアート作品としても人気。
長い歴史のなかで洗練を重ねてきた水引のニュークラフツは、パーティーを華やかに彩る「水引のグラスリング」である。

飯田水引の伝統

鮮やかで豪華な結納飾り
水引を使ったアート作品

はじまりは紅白の麻紐から

和紙が織りなす美しい日本の伝統工芸、「水引」。
一般に祝儀袋などの装飾をイメージしがちだが、
「水引」は、和紙をこよりにして、色付けなどをした紐を指す。

目に鮮やかで豪華な細工が施され
結わくだけでその場を一気に華やかにする結納飾りはその代表例。
最近では、暮らしを彩るアート作品としても注目を浴びている。

歴史上、水引がはじめて登場したのは、飛鳥時代。
遣隋使の小野妹子が帰国した際、隋からの贈り物に
「航海が無事平穏でありますように」と祈りを込めた紅白の麻紐が
結ばれていたものが日本の水引のルーツだと言われている。
やがて素材も和紙へと変化し、
江戸時代には、より丈夫なものへと進化を遂げる。

長野県飯田市は、まげを結うのに使う和紙のヒモ
「元結(もとゆい)」の産地だったこともあり、
水引の一大生産地となっている。

その歴史は古く、江戸時代に飯田城主が将軍家への献上品として
輪結びにした紅白の水引を贈ったのがはじまり。

なかでも、歌舞伎や落語の演目「文七元結(ぶんしちもっとい)」で
知られる紙すき職人「桜井文七」が考案した元結は、
色艶が良いと全国で評判に。
この技術を生かして、水引づくりは発展していく。

飯田水引の技術

手こきと手染めの職人、野々村義之さん
伝統技術を守り続けている「野々村水引店」
こよりを切りそろえ、ひとつにまとめる「たぐり」
艶とハリを生みだす「手こき」
紅色の染料で染め上げる
完成した飯田水引

機械作業の数倍の手間ひまがかかる手づくりの味

現在流通している水引は機械でつくられたものが一般的だが、
職人の手仕事でつくられた「手こき」と呼ばれるものもある。
機械のものよりも、ハリや艶があり耐久性も増すが、
つくるのに数倍の手間ひまがかかり、
めったに市場には出ないという。
そんな手こきと手染めの職人が、飯田市でも唯一、
先代から受け継いだ伝統技術を守り続けている
「野々村水引店」の三代目、野々村義之(ののむらよしゆき)さん。

水引づくりの作業は、大きな和紙を機械にセットし、
回転させながら、およそ2.3㎝幅に裁断していくことからはじまる。

続いて、裁断した和紙をひと巻きずつ水に潜らせていく。
その後、半日ほど乾燥。こうすることで、和紙の強度が増す。

乾き、艶などを気にしながら
常にいい物をつくろうと心がけています。
― 野々村義之

次に、乾燥した和紙をより機にかけて、
糸状の紙紐(かみひも)とこよりをつくる。
このとき、1秒間におよそ12回転させ和紙をねじる。

こよりの太さを決めるのはラッパと呼ばれる、
より機の部品の穴の大きさだ。今回は、細い方を使用。
完成したこよりを、タイコと呼ばれる道具に巻きつけ、
ねじりながら巻いていく。

タイコにこよりを巻いた「より玉」ができあがると、
次は「たぐり」の工程。
たぐりとは、より玉に巻いてある125本のこよりを、
およそ18mに切りそろえ、ひとつにまとめる作業。
このとき、より玉に巻いてあるこよりを、
火であぶりながら、まっすぐに伸ばしていく。

繊細な力加減が、艶とハリを生みだす

そしていよいよ「手こき」の工程。
長さ18m、125本のこよりをピンと張り、糊づけをして、
艶とハリをだす作業だ。
まず、ツノマタと呼ばれる海藻を水で戻し、
それを石灰に混ぜて、糊をつくる。
木綿の布をこより1本1本に挟み、糊が染み渡るようにする。
2本の棒でこよりを挟み込み、糊を塗る。
ちなみに「手こき」とは、この作業が舟の櫓(ろ)を漕ぐ姿に
似ていることから、そう呼ばれるようになったのだとか。

手で握るときの力の加減が大切です。
弱すぎると布が外れ、強すぎると進まなくなるんです。
― 野々村義之

ハリとコシを出すために、適度な力加減で糊を塗り足し、
しばし乾燥。これを3度、4度と繰り返す。

染めの作業では、手づくりの特殊な定規を使って、
染め分ける目印を付けていく。
1本1本、むらなく染まるように、
「おさ」という道具を使い、こより同士がくっ付かないよう固定。
印を付けた部分に木の棒をかける。

染料は門外不出。
紅色の染料をこよりに丁寧に塗り、染め上げる。
温度や湿度など気候の変化を敏感に感じ取り、
その時々に応じて塗る量を調整する。

紙と人と自然が一体となり、雅な「水引」は誕生するのだ。

染めが終わると、いよいよ最後の工程。
ハサミで6尺に裁断していく。

手作業でしかできないこともあり、
機械とはまた違うよさが生まれます。
伝統的な技術なので、後々に遺していきたいですね。
― 野々村義之

飯田水引 × グラスリング

ニュークラフツづくりに挑む、東谷信子さん
完成した飯田水引のグラスリング

“結ぶ”文化を現代に引き継ぐ、水引のニュークラフツ

色、艶、コシが特徴の「飯田水引」の
ニュークラフツづくりに挑むのは、
明治元年創業の「大橋丹治(おおはしたんじ)」に勤める
水引工芸作家の東谷信子(ひがしたにのぶこ)さん。
リクエストしたのはホームパーティで使えるアイテム。
果たしてどんなニュークラフツができるのか、期待が膨らむ。

水引といえば、
やはり鯛、亀、鶴といったおめでたい物を連想するので、
そういったものをつくってみようかなと思います。
― 東谷信子

そして、完成したニュークラフツは、水引のグラスリング。
パーティーなどで使えば、自分のグラスの目印になる優れもの。
鶴をイメージしたものは、グラスにひと結びするだけで、
パーティーをより華やかな印象へと変えてくれる。
ハレの日を素敵に祝う伝統工芸。
これぞ、水引のニュークラフツである。

アーツ&クラフツ商会 Lot.037 飯田水引のグラスリング

ダイジェスト動画

放送第37回:飯田水引のグラスリング

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