セキスイハイムpresents

アーツ&クラフツ商会

【放送】
毎月 第一および第三月曜日
夜11:00~11:30
ナビゲータ/坂井真紀

第49回 用と美を兼ね備えた別府竹細工のミニラック

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湯けむりが立ちのぼる、日本有数の温泉街、大分県別府市。
全国でも人気の高い源泉100%掛け流しの湯に欠かせないのが、「竹」だ。
2000年の歴史を誇る竹を編む技術を活かした「別府竹細工」のニュークラフツは、竹の編み目の美が際立つミニラックである。

別府竹細工の伝統

竹細工に使われる良質なマダケ
別府のシンボルとして愛され続けている別府竹細工

温泉地で繁栄された竹細工

「別府竹細工」の起源は、およそ2000年前、
第12代景行天皇の九州遠征のころまで遡るといわれている。

一行が別府に立ち寄った際に、お供の膳伴(かしわごのとも)が、
良質な「竹」を発見。この竹を使い、つくられた茶碗かごが
別府竹細工の原点と伝えられている。
それから江戸時代になり、温泉地として名が広まった別府には、
日本全国から湯治客が集まるようになった。

自炊する湯治客のために、飯かごや味噌こしなど、
生活用品を竹細工でつくるようになると、
みやげ物としても大人気に。
別府竹細工は地場産業へと成長したのだ。

明治35年には、別府工業徒弟学校が設立され、
多くの優れた竹職人を輩出。
現在の竹細工の基礎を築きあげた。
高度な技術に裏打ちされた別府竹細工は、
そのあとも工芸品として発展を遂げていった。

近年では美術工芸品としても評価され、
昭和42年、別府市の生野祥雲斎(しょうのしょううんさい)が、
竹工芸で初の人間国宝に認定されている。

長い歴史を有する別府竹細工は、
温泉と並ぶ別府のシンボルとして愛され続けている。

別府竹細工の技術

竹職人・大谷健一さん
竹割包丁を使って「ひご取り」する
足の指も使い、竹ひごを半分の厚さに剥ぐ
仕上げの「二枚剥ぎ」をした竹ひご
寸法板の線にあわせて編んでいく
編み終わった盛りかごに「フチ」をとりつける
完成品

巧みに形を変える竹ひごづくり

大分県別府市の温泉街を見下ろす高台には、
竹かご制作工房「竹楓舎(ちくふうしゃ)」がある。
この工房を主宰する竹職人・大谷健一さんは、
かつて造園業に従事していたが、別府竹細工に魅せられ転職。
37歳でこの道にはいった遅咲きの職人だ。

今回は、「盛りかご」の制作工程を見せていただいた。

別府竹細工づくりは、竹の加工からはじまる。

伐採したマダケをカセイソーダの入った熱湯に入れて煮沸し、
釜からとりだして、表面にしみでた油をふきとる。
こうすることで、竹の耐久性が増すのだ。
天日乾燥させて、色を白くした「白竹」は、職人のもとに届けられ、
さまざまな竹細工へと姿を変える。

まずは、作品の出来を左右する重要な作業「ひご取り」。
職人は幅7ミリの竹ひご60本を手づくりで用意する。

竹にも性格があり、
言うことを聞くのもあれば、聞かないのもあります。
それを考えながら形をつくる作業が竹の魅力です。
— 大谷健一

ひご取りに欠かせないのが「竹割包丁」。
刃の根元にある「胴金」を使って、内側の繊維を剥いでいく。

ここからは職人の腕、ならぬ「足」の見せどころ。
竹ひごに切れ目を入れ、それを足の指で挟み、半分の厚さにする。
職人は足の指まで器用だ。
あっという間に竹ひごの厚さは、1ミリに。

続いて、刃物のあいだに竹ひごを通し、
幅を7ミリにそろえる「幅取り」。
一見簡単そうに見えるが、
竹を熟知した職人ならではの高度な技である。
そして刃物の角度を変えて、竹ひごの角の部分を
ほんの少し削る「面取り」は、糸一本分を削るだけで、
手触りが格段によくなる作業だ。

仕上げは、「二枚剥ぎ」。
竹割包丁で竹ひごに切れ目を入れ、口を使って、二枚に剥いでいく。
このとき、竹ひごの弾力性をあげるため、
端の部分は切り離さず、くっつけたままにする。

ここまでの工程をマスターするのに、3年はかかるという。

白い竹を編み込む精緻な技

準備ができたところで、ようやく「編み」の作業だ。
バリエーション豊富な別府竹細工は、格子模様の「四つ目編み」、
ジグザグ模様の「網代編み」、丸い籠などの底の部分に使われる
「菊底編み」など、編み方は200種類を越える。
今回つくるのは、そのなかから「亀甲編み」。

編みの作業は「寸法板」の上で行う。
水分を含ませてやわらかくした竹ひごを、
寸法板の線にあわせて編んでいく。
六角形を囲むように重なる6本の形から「風車」とよばれている。
職人は、寸法板を少しずつ回転させ、外側から1本ずつ編む。
ちなみに、竹ひごが上にある状態を「おさえ」、
下にある状態を「すくい」という。
60本編み込んだら、「亀甲編み」の完成だ。

続いては、かごの形にする前の下準備「押し込み」。
加工しやすいように、竹ひごにクセをつけ、
「治具(じぐ)」を使って、両側から挟んで固定し、
盛りかごに「フチ」をとりつける。
フチを入れたら、針金を巻いて仮止めをし、
余分な竹ひごを切り落とす。
治具を外せば、すっかりと盛りかごの形だ。

一晩置き、形をなじませたら、
フチの部分に籐を巻きつけて、きっちりと締める。
最後に籐を切ったら、別府竹細工の盛りかごの完成だ。
白竹のナチュラルな風合いと、亀甲編みが端正な一品。
美しいだけではなく、とても丈夫で長持ちする優れものだ。

白いものは、時代とともに飴色に変わります。
経年変化を楽しむのもいいでしょう。
— 大谷健一

別府竹細工 × ミニラック

ニュークラフツ作りに挑む大谷健一さん
完成した別府竹細工のミニラック

和の食卓を彩る別府竹細工のニュークラフツ

今回、ニュークラフツに挑戦するのは、竹職人の大谷健一さん。

作業中の手元をのぞいてみると、四つ目編みを編んでいる様子。
その竹かごをさらに加工しているようだ。
はたして、どんなニュークラフツができあがるのだろうか。

完成したのは「別府竹細工のミニラック」。
竹かごだけに、通気性は抜群。2段組みでスペースも広く、
食器をたっぷり収納できる。
実はこの竹かご、上下で編み目が異なっている。
上の竹かごは「四つ目編み」。
そして、下の竹かごは四つ目編みに「ござ目編み」を加えて、
強度を増した仕上がりに。
安心して使えて、インテリアにも映える、嬉しい逸品だ。

竹の場合、木のように精密に同じ寸法で曲げることが
難しいのですが、上手くできてよかったです。
— 大谷健一

和のテイストが、キッチンをおしゃれに彩る、
ものづくりと真摯に向きあう職人の自信作。
これぞ「別府竹細工」のニュークラフツである。

アーツ&クラフツ商会 Lot.049 和の食卓を彩る別府竹細工のニュークラフツ

ダイジェスト動画

放送第49回:用と美を兼ね備えた別府竹細工のミニラック

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