セキスイハイムpresents

アーツ&クラフツ商会

【放送】
毎月 第一および第三月曜日
夜11:00~11:30
ナビゲータ/坂井真紀

時を経て気づく本当の価値 -鶴田真由

TOP > インタビュー/レポート > スペシャルインタビュー 2 鶴田真由
女優として、映画や舞台、テレビドラマなどで活躍する鶴田真由さん。
自身旅好きであり、ドキュメンタリーや旅番組などでも、さまざまな場所を訪ね歩いてきました。
各地で出会ったアンティーク作品や、職人たちの仕事ぶりに深い共感を寄せています。
そんな鶴田さんが考える“時を経ても、失わない輝き”とは。

時を経て気づく本当の価値

和紙のスリッパや有田焼のツリーなど、
番組「アーツ&クラフツ商會」から生まれた
伝統工芸とのコラボレーション作品にはいつもわくわくさせられます。
そんな大胆なチャレンジができるのも、
脈々と受け継がれた“伝統”という“ぶれない軸”があるからこそ。
そんな作品から醸し出される、自然とともに暮らしてきた
日本人ならではの美意識は、現代に暮らす私たちをも魅了します。

旅先で思わず手にしてしまうのもやはり、
幾重にも連なる時代を乗り越えたものだけがもつ物語性や、
手仕事の温もりを感じさせるアンティークな品々ですね。
今日身につけてきた指輪もそのひとつ。
今から1000年ほど前、
ロマネスク様式全盛期に作られたものだそうです。
優美でありながら可憐で――私がつけると、
なんだかおもちゃのようにも見えますが(笑)、
何より手にすることでさまざまな想像が
かき立てられるところが気に入っています。
たとえば、この指輪が辿った歴史や見てきた風景、作られた目的。
あるいは、長い時と空間を超えて私のもとに来たのも何かの縁?
などということまで……。指輪を眺める私の空想は止まりません。

こうしたものに心引かれるようになったのは、
自分自身が時を経てさまざまな経験を重ねてきたからではないかと
考えることもあります。
生まれ育った鎌倉の良さもそう。
自然と文化が調和した独特の魅力は、
大人になって改めて気づいた部分も多くあります。
子供のころは身近すぎたのかもしれませんね。

そんな鎌倉の生家も、とても居心地のいい空間でした。
この家は実はインダストリアルデザイナーだった父自身が設計したもの。
そのコンセプトは、「時とともに変化する家」だったそうです。
それは、家族の人数や暮らし方が
いつどのように変化するのかわからないのなら、
はじめは最低限の空間を用意して、新しい家族が誕生したら、
そのつど必要なぶんだけ増築していけばいい、というもの。
おかげで我が家は、私を含めた子ども2人が生まれ、
そして成長していく過程で増築やリフォームを繰り返し、
建築当初とはその姿形もだいぶ様変わりしたはずですが、
常に暮らしやすい最適な空間であり続けました。

私がもし家を建てるなら? 
そうですね……、コンセプトは“ずっといたくなる家”でしょうか。
光と風にあふれる“いつも、いつまでも快適な空間であり続ける家”。
父がそうだったように、時とともに変化しながら、
変わらない価値を提供し続ける空間は、私にとっても理想です。

写真:Naoaki Yamamoto

PROFILE : 鶴田真由(つるた・まゆ)

神奈川県出身。1988年女優デビュー。
その後、ドラマ、映画、舞台、CMと幅広く活動。
代表作には、ドラマ「妹よ」、「君と出逢ってから」、
「徳川慶喜」、「お仕事です!」、「サトラレ」、
映画「梟の城」、「半落ち」、「カーテンコール」などがある。
1996年には「きけ、わだつみの声」で
日本アカデミー賞優秀助演女優賞を受賞。
近年はドラマ「マルモのおきて」、「酔いどれ小籐次」、
「株価暴落」、「翳りゆく夏」、映画「沈まぬ太陽」、
「さよなら渓谷」、「ほとりの朔子」など話題作に出演。
著書に古事記をたどった旅エッセイ
『ニッポン西遊記 古事記編』(幻冬舎)がある。
出演映画「家族ごっこ」が今夏公開予定のほか、
12月には二人芝居「東おんなに京おんな」に出演を予定している。
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