セキスイハイムpresents

アーツ&クラフツ商会

【放送】
毎月 第一および第三月曜日
夜11:00~11:30
ナビゲータ/坂井真紀

日常に潤いをもたらす“品質”へのこだわり -川島良彰

TOP > インタビュー/レポート > スペシャルインタビュー 4 川島良彰
コーヒーのためにできることは、すべてやる。
栽培から収穫、精選加工、輸送、そして保管、焙煎、包装まで、
一切の妥協なくつくりあげた最高品質のコーヒーで、新しいコーヒー文化を発信する「ミカフェート」。
その代表を務めるのが、まだ見ぬ素晴らしいコーヒーとの出会いを求め、世界中の農園を訪ね歩く“コーヒーハンター”こと、川島良彰さんだ。
川島さんが伝え続ける、コーヒーの本当の価値とは?

日常に潤いをもたらす“品質”へのこだわり

私がコーヒーの“プロ”を目指し、
コーヒーの本場であるエル・サルバドルに渡ったのは1970年代半ばです。
当時は日本各地に個性豊かな喫茶店があり、
マスターこだわりの美味しいコーヒーが愉しめました。
それがどうでしょう? 約30年後、私が帰国してみると、
日本のコーヒーは美味しくなくなっていて、
かつてのコーヒー好きもすっかり姿を消していました。
せっかくのブレンド技術も美味しくするためではなく、
コストダウンの手段となり品質を落としてしまっていたんですね。

一方で、同じ嗜好品であるワインはというと、
お店にはリーズナブルなテーブルワインから
ロマネ・コンティまで1970年代当時とは比べ物にならないほど
多種多様なワインがそろい、シーンにあわせて愉しんでいました。
赤玉ポートワインの時代しか知りませんでしたから、
ワイン文化の成熟ぶりは驚きましたよ。
コーヒーだって、ワインにも劣らない魅力をもった飲み物なのに、
と忸怩たる想いを募らせていました。

そこで、コーヒーの本当の価値を伝えるために
設立したのがミカフェートです。
長年の経験を活かし、「コーヒーのためにできることは、すべてやる」
をコンセプトに、畑の選別、栽培から収穫、精選加工、輸送、保管、焙煎、
包装にいたるまで独自の基準を設け、
すべてにおいて一切の妥協なくつくりあげた
最高品質のコーヒーが「グラン クリュ カフェ」です。

ためしに、この2つのコーヒー豆を見てください
(2種類のコーヒー豆を紙の上に広げて見せていただいた)。
ミカフェートのコーヒー豆と、某コーヒーショップのものです。
どうです? 見た目がちがうでしょう?
某ショップのほうには、
欠けている豆や虫食いのものなどが交じっていて、見た目がバラバラ。
これらがコーヒーの雑味のもとなんです。
それにくらべて、良質の豆だけを選び抜いた
うちの豆は色も形もすべてそろっているでしょう。
よかったら、豆を食べてみてください。
質のちがいがさらにはっきりするはずですから。

川島さんに促されるようにしてコーヒー豆を口に入れてみる。
ただ苦いだけの某ショップの豆に対し、
ミカフェートの艶のある豆は、コクがあって香ばしく、口に含むと
豆の旨味がじんわりと口内に広がっていく。
見た目同様、品質の差は歴然。
それは両者を食べ比べたスタッフたちの表情が物語っていた。

価値が認められるものには、
産地や品種、精選、焙煎などへのこだわりなど、
それなりの理由があるのがおわかりいただけたかと思います。
そんなうちのコーヒーをいち早く評価してくれたのは、
コーヒー好きではなく、意外にもワイン通の方々でした。
「コーヒーって、ワインと同じなんですね」、と。
まさに、そのとおり。
同じ品種でも収穫される土地や年度によって
まったく品質が異なるワイン同様、
コーヒーもまた、農産物であり、フルーツなんです。

つまり、それほど豊かなストーリーをもっていて、
奥が深い飲み物であるということ。
その本当の価値をわかってくれる人が増えることで市場は成熟し、
コーヒーの価値が上がり、
生産者にもさまざまな面で還元されることになります。
そうして新たなコーヒー文化は醸成されるのだと思っています。

だからこそ、まだ見ぬ素晴らしいコーヒーとの出会いを求め、
今もまだ旅の途中です。
先月もロスを経由してペルーに行ってきたばかり。
そんな生活を30年以上にわたって、ともに過ごしてきた、
私にとっては“おまもり”のような存在があります。
それが、このホルダー付きのボールペンです。
勾配のきつい農園では、なるべく両手をフリーにしておきたいんですよ。
ホルダー付きの着脱が楽なペンを探していて、見つけたのがこれ。
農園ではいつもこれを首からさげています。
色も目立つのでいいんですよ。
何度落としても、不思議と必ず僕のもとに戻ってきてくれました。
ラッキーアイテムですね。テープで補強しながら使い続けているので
見た目はよくありませんが、もちろん今も現役。
妻にはみっともないから新しいものに替えたら、
と言われていますが(笑)、
まだまだともに旅を続けることになると思います。

このように、1年のうち約3分の1は海外を飛び回っていますから、
家で過ごす時間はとても貴重なもの。
リビングのソファーに腰をおちつけて、
自分で淹れたコーヒーを味わう時間は、
何ものにも変えがたいひとときです。
こうしてコーヒーをいただきながら、大きな窓から
夜空を飛ぶ飛行機をぼうっと眺めていると、落ち着くんですよ。
世界中で私を待っているまだ見ぬコーヒーのことを考えながら……。
結局仕事のことを考えているんですけどね(笑)。
でも、最高級のコーヒーやワインがそうであるように、
徹底した品質管理にこだわり、生産者の想いがつまった家
――高精度のセンサーのみならず、
最終的には人の目で1邸ごとに丹念に検査を行い、
厳格な品質チェックを行うセキスイハイムの家のように――
もまた、人を幸せにする特別な時間をもたらしてくれる、
そんな存在だと思います。

写真:Naoaki Yamamoto

PROFILE : 川島良彰(かわしま・よしあき)

株式会社ミカフェート代表取締役。
1956年、静岡県の珈琲焙煎卸業の家に生まれる。
高校卒業後、エルサルバドルのホセ・シメオン・カニャス大学に留学し、
その後、国立コーヒー研究所に入所。
内戦勃発後も同国に残りコーヒーの研究を続ける。
1981年、日本の大手コーヒー会社に入社し、ジャマイカ、ハワイ、
インドネシアなどでコーヒー農園開発を手がけ、
各現地法人の役員・社長など歴任。
また、マダガスカル島で、絶滅危惧種マスカロコフェアの
保全保護に携わり、レユニオン島では絶滅したとされていた
ブルボン・ポワントゥの発見・再生で
同島のコーヒー産業を復活させる。珈琲会社を退職後、
2008年に株式会社ミカフェートを設立。
著書に『私はコーヒーで世界を変えることにした。』
『コンビニコーヒーは、なぜ高級ホテルより美味いのか』(ポプラ社)
など。
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